世界で最も古い地球儀が、実はダチョウの卵でできているってご存知ですか？そのユニークな素材と、そこから読み解ける歴史のロマンについてご紹介します。
この地球儀は、ダチョウの卵の表面にラテン語の文字が繊細にエッチング（表面加工）された、芸術品のような一品です。
グレープフルーツほどの大きさで、卵の下半分を組み合わせて球体にしています。その起源についてはまだ多くの謎が残されていますが、コロンブスのような探検家たちの情報をもとに作られたと考えられています。
現代の技術を駆使し、100人以上の専門家が協力。卵の殻が長年かけて失ったカルシウムの密度を分析することで、これが1504年頃に作られたものだと結論付けています。一般的な古地図が羊皮紙や木材で作られる中、ダチョウの卵を使った地球儀は他に例がなく、その希少性が際立ちますね。製作者がレオナルド・ダ・ヴィンチだという説もありますが、これはあくまで推測の域を出ません。
この地球儀に描かれた北米大陸は、現在の地図とは異なり、二つの島として描かれています。コロンブスがアメリカ大陸に到達したのが1492年ですから、当時の人々が持っていた地理認識が垣間見えるようで、とても興味深いですね。
長い間ヨーロッパの地図商人の間を転々としていたと伝えられています。ちなみに、このダチョウの卵の地球儀が発見されるまで最古とされていたのは、銅製の「ハント・レノックス地球儀」です。こちらも1504年から1506年頃に作られたとされており、両者の年代が近いことから、今後のさらなる研究に期待が高まります。