組織内の人々の働き方には、特定のパターンがあることを示す「働き蜂の法則」という考え方があります。この法則は、私たちの社会のさまざまな組織にも当てはまると言われており、組織を理解する上で興味深い視点を提供してくれます。
働き蜂の法則とは
この法則は、どんな組織であっても、そこに属する人々の働き方がおおよそ次の3つのグループに分かれるという考え方です。
- よく働く蜂（または優秀な働き手）：全体の約2割
- 普通の働き蜂（または一般的な働き手）：全体の約6割
- 働かない蜂（または貢献が少ない働き手）：全体の約2割
つまり、どんな組織でも、常に一部の人が積極的に活動し、大多数が平均的に働き、そして一部の人があまり活動しない、という割合が自然と形成されるとされるのです。これは、多くの組織で観察される傾向として知られています。
驚くべき法則の特性
「働き蜂の法則」には、さらに興味深い特性があります。それは、「よく働く蜂」だけを集めて新しい組織を作ったとしても、時間の経過とともに、再び元の「2割がよく働き、6割が普通に働き、2割が働かない」という割合に戻ってしまう、というものです。
この事実は、個々のメンバーの能力や意欲に関わらず、組織という集合体そのものが、ある種のバランスを保とうとする傾向があることを示唆していると言えるでしょう。つまり、特定の働き手の努力や貢献だけが組織全体の成果を決めるわけではなく、組織全体の構造や関係性も大きく影響する可能性があることを示唆しています。
私たちの社会への応用
この「働き蜂の法則」は、蜂の世界だけでなく、人間の社会におけるさまざまな組織、例えば会社や学校、ボランティア団体などにも当てはめて考えられることがあります。
どんなに優秀な人材を集めても、あるいは全員がやる気に満ちている集団であっても、現実には常に理想通りの成果が出るとは限りません。この法則は、組織運営において、完璧な状態を常に維持することは難しい、という現実を教えてくれています。
完璧ではないが「より良い」選択
ある会社の代表者も、この法則に触れて、「完璧な状態（BEST）はあり得ない」という考えを示していました。そして、「BESTではなく、より良いもの（BETTER）を選ぶ」という現実的な視点を持つことの重要性を指摘しています。
組織を運営したり、何か問題に直面したりする際には、理想を追い求めすぎず、現状を受け入れた上で、今できる最善の選択をしていく姿勢が大切だというメッセージです。完璧を目指すのではなく、常に少しずつでも改善していくこと、つまり「より良い」状態を目指し続けることの価値を示していると言えるでしょう。
まとめ
「働き蜂の法則」は、組織内の多様な働き方と、それが自然と生じるバランスを理解する上で役立つ考え方です。完璧な組織は存在しないという現実を受け入れ、その中でいかに「より良い」選択を重ねていくかが、組織を健全に保つための鍵となります。
パレートの法則」についてもっと詳しく知りたい場合は、そちらも参考にしてみてください。