CHAGE and ASKAの楽曲「On Your Mark」のプロモーションフィルムは、スタジオジブリが手がけたアニメーション作品として知られています。この映像は1995年7月15日、映画「耳をすませば」と同時上映という形で公開されました。映画館の大スクリーンで音楽プロモーションフィルムが上映されるのは、当時としては珍しい取り組みでした。

制作の始まりとスタジオジブリとの連携

このアニメーションPVの制作は、CHAGE and ASKAのASKAさんが「アニメーションでプロモーションビデオを制作してみたい」と発言したことがきっかけとなりました。その後、宮崎駿監督作品の熱心なファンであったCHAGEさんが、スタジオジブリに制作を提案したことで実現に至ったとされています。

この映像作品の大きな特徴は、セリフが一切なく、声優も起用されていない点です。音楽と映像のみで物語を語り、登場人物の感情や世界の状況を描き出しています。それでもなお観る人を強く惹きつける力は、宮崎駿監督による映像表現の確かさを示すものとして高く評価されています。

ジブリ 宮崎駿

ストーリーの概要

作品で描かれる物語の舞台は、世紀末後の未来都市です。物語が始まる時点では、地表は放射能によって汚染され、病気が蔓延したため、人類は地下での生活を余儀なくされています。荒廃した未来の様子が、緻密なアニメーションで表現されています。

ある時、武装警官隊が「聖NOVA’S」と呼ばれる施設を襲撃し、その場を制圧します。その警官隊の一員である二人の男は、施設の奥で、翼の生えた少女を発見します。彼らは少女を救い出すものの、彼女はすぐに研究資料として政府機関に連れ去られてしまいます。翼を持つ少女という神秘的な存在を巡り、二人の警官は、彼女を彼女の本来いるべき場所、つまり空へと帰そうと決意し、救出に向けて奮闘を始めるというストーリーが展開されます。

公開後の反響とアニメーションの可能性

「On Your Mark」のプロモーションフィルムは、公開後に大きな反響を呼びました。その人気から、長編アニメーション作品としての制作が検討された時期もあったようですが、最終的には実現には至りませんでした。短い映像作品の中に込められたメッセージや壮大な世界観が、多くの観客の想像力を掻き立てました。

セリフに頼らず、映像と音楽だけで物語と感情を深く伝えるこの作品は、アニメーション表現の新たな可能性を示した一例と言えるでしょう。また、通常の音楽プロモーションビデオがテレビや音楽番組で放送されるのに対し、本作が映画館の大スクリーンで上映されたという点も、その特異性を際立たせています。映像と音響が一体となり、観る人に強い印象を残す、稀有な作品です。