私たちの周りは、さまざまな音で満たされています。しかし、その音が当たり前ではない人生を送る方もいます。今回は、遺伝子疾患の一つであるアッシャー症候群について、そしてその中で特別な体験をした一人の女性の物語をご紹介します。

アッシャー症候群は、生まれつき、あるいは幼少期から聴覚と視覚の両方に困難を抱える可能性のある遺伝性の病気です。具体的には、難聴と、徐々に視野が狭まる網膜色素変性という症状を併発します。現在、この病気に対する確立された治療法はまだ見つかっていません。

ジョアン・ミルンさんも、このアッシャー症候群タイプIという診断を受けています。彼女は生まれつき音が聞こえない世界で40年間生きてきました。

そんな彼女が、ある日、人工内耳を装着し、そのスイッチがオンになった瞬間に立ち会いました。40歳という年齢で初めて「音」を認識したときの、言葉にできないほどの感情がそこにはありました。

私たちは普段、当たり前にあるものに価値を見出しにくいものです。しかし、聴覚をはじめとする五感がもたらす情報や、日々触れるささやかな出来事の一つ一つが、実は私たちを満たす大切な要素なのかもしれません。

何気ない日常の中に隠れている幸せに目を向けてみる。そんな心の余裕が、私たちの生活をより豊かにするきっかけになるのではないでしょうか。

人間の聴覚は非常に敏感で、ささやき声からジェット機の轟音まで、幅広い音の強さを認識できます。また、左右の耳でわずかに違う音を聞き分けることで、音源の方向を正確に特定する能力も備わっています。私たちが普段意識しないこの精巧な仕組みが、安全とコミュニケーションに大きく貢献しているのです。