私たちは日頃、都市のまばゆい光の中で暮らしていますね。もし、その人工的な光が一切なかったとしたら、街の夜空にはどんな星たちが輝くのでしょうか?
写真家ティエリー・コーエン氏のアートプロジェクト「Villes Enteintes」(ヴィル・アンタント)は、そんな想像を形にしています。直訳すると「暗くなった都市」という意味のこのプロジェクトをご紹介しましょう。
光に隠された都市の星空
コーエン氏は1985年からプロとして活躍し、2010年からはこのプロジェクトに情熱を注いでいます。彼の作品は、光害(人工の光によって夜空の星が見えにくくなる現象)がない状態の主要都市の夜空を想像力豊かに描いています。
https://www.danzigergallery.com/artists/thierry-cohen
これらの写真は、単なる合成ではありません。各都市の緯度、経度、時間などを正確に計測。その都市から見えるはずの星空を、モハーヴェ砂漠やサハラ砂漠といった空気の澄んだ場所で実際に撮影します。そして、その星空を元の都市の風景に重ね合わせるという、緻密な計算とユニークな手法で生み出されています。
普段見上げる夜空とは異なる、新たな美しさを提示するこれらの作品。たまには、忙しい日常から離れて、夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。人工の光が織りなす「芸術的建造物のナイトビジョン」も、また違った魅力がありますよ。