周りの誰かが大きく口を開けて「ふぁ〜」とあくびをしたとき、なんだかこっちまで口が開いちゃう……そんな経験、誰にでも一度はありますよね。なぜか伝染してしまうあくびは、ちょっと恥ずかしくもあり、不思議でもあります。この日常に潜むちょっとした謎について、一緒に探ってみましょう。
もしかして今、うつった?あくびの不思議な伝染力
友だちや家族、あるいはテレビの中の人があくびをしているのを見ただけで、自分もつられてあくびが出てしまう現象。これって、気のせいじゃないんです。実は、この伝染性のあくびについて、さまざまな研究がされているんですよ。
あくびが伝染する様子を捉えた動画を見ると、思わず自分もあくびが出てしまう人が少なくありません。ある実験では、この動画を視聴した人のうち、約30%の方が実際に反応してあくびをしてしまったそうです。もしかしたら、あなたもこの不思議な力に影響されるかもしれませんね。

どうでしたか?もしかして、画面の前で思わず「ふぁ〜」となってしまった方もいらっしゃるでしょうか。この見ているだけでも伝わってしまうあくびの力は、一体どこから来るのでしょう。
そもそも「あくび」って何だろう?
あくびの「伝染」の謎を解き明かす前に、まずは「あくびそのもの」について見ていきましょう。あくびとは、眠たいときや疲れているときなどに、私たちの意思とは関係なく(不随意に、と言います)、大きく口を開けて深く息を吸い込む呼吸動作のことです。
あくびが出やすいのは、体が覚醒した状態から眠りにつくとき、あるいは眠りから覚めるとき、といったように意識の境界にあるタイミングだと言われています。具体的には、次のような状況でよく見られます。
- 眠たいとき
- 体が過度に疲れているとき
- 退屈だと感じるとき
- 極度の緊張状態にあるとき
- 寝起き
驚くことに、あくびをするのは人間だけではありません。哺乳類はもちろん、爬虫類や鳥類など、さまざまな動物たちにもあくびが見られることが知られています。これは、あくびが脳の比較的原始的な部分、たとえば室傍核(しつぼうかく)という部分の働きによって起こるためと考えられています。つまり、生物としての歴史の中でもかなり昔からある行動だということですね。
あくび伝染の「なぜ?」はまだ研究中?
さて、肝心の「なぜあくびは伝染するのか?」という問いについてはどうでしょうか。実は、この「伝染性あくび」の科学的なメカニズムは、まだ完全に解明されているわけではありません。
一説には、共感能力と関係があるのではないか、とも言われています。他者のあくびを見ることで、無意識のうちに相手の状態に共感し、自分も同じような生理反応を引き起こす、という考え方ですね。社会的なつながりや感情の共有といった、人間の複雑な心理が関わっている可能性も指摘されています。しかし、具体的な脳の活動や神経伝達物質の関与など、詳しい科学的根拠については、今後のさらなる研究が待たれるところです。
このように、私たちの日常に当たり前にあるあくびの現象には、まだまだ解き明かされていない多くの謎が秘められているのです。
ちょっと気になるあくびの豆知識
あくびには、面白い側面や、文化的な背景もあります。いくつかご紹介しましょう。
「欠伸を噛み殺す」ってどういうこと?
私たちは、眠いのに会議中だったり、退屈だけど集中しなければならない場面で、必死にあくびをこらえようとすることがありますよね。このように、出かかったあくびを無理に止めること、転じて「退屈であるのを我慢する」ことを、「欠伸(あくび)を噛み殺す」という表現で表すことがあります。日常の風景を切り取った、なんとも味わい深い言葉ですよね。
あくびのマナー
いくつかの文化圏では、人前であくびをすることは無礼だと考えられることがあります。そのため、あくびをするときに口元を隠すのがマナーとされています。これは、あくびが時に集中力の欠如や退屈を連想させるためかもしれませんね。
あくびでリフレッシュ?
一見するとただの生理現象に見えるあくびですが、その不思議な力に着目したこんな情報もありますよ。
ライオンあくび体操で元気になる!たちまち自然治癒力が高まる3分あくび脳幹体操
あくびを通じて心身のリフレッシュを図る、というユニークなアプローチもあるようです。奥深いあくびの世界、ぜひ日常の中で意識して観察してみてください。私たちの身近な現象に、意外な発見があるかもしれませんね。