ニューヨークの一角に突如現れた、汚れた水を販売する自動販売機。ペットボトル1本1ドルという価格設定に、多くの人が驚き、不快感を覚えるかもしれません。しかし、この一見奇妙な光景は、私たちが目を向けるべき世界の現実を静かに語りかけています。
この自動販売機は、ユニセフが企画したプロジェクトです。その目的は、世界が直面する水問題への意識を高めることにあります。地球上には、病原菌を含んだ汚染水を日常的に飲まざるを得ない人々が数多く存在します。安全な水が手に入らない人々は、実に11億人以上。これは日本の人口の約8倍にも相当する数字です。
私たちが蛇口をひねれば当たり前のように清潔な水が手に入るのに対し、世界の191カ国のうち、水道水を安心して飲める国はわずか15カ国に過ぎません。全体の10%にも満たない状況が、私たちの意識の裏側で進行しています。
この問題は、水だけにとどまりません。世界各国の慈善団体が行う年間の食糧援助量が約590万トンである一方、日本で捨てられる残飯は年間約2320万トンにも上ります。これは、食糧援助の約4倍の量が日々廃棄されていることを示しています。
私たちは「何ができるだろう」と考えたとき、多くの方が「募金」を思い浮かべるかもしれません。しかし、それだけで十分なのでしょうか。マザー・テレサのこの言葉が、私たちに深い問いを投げかけます。
愛の反対は憎しみではなく無関心です
Mother Teresa
こうした現状に対し、私たち一人ひとりができることは何か。それは、まず「知る」ことから始まるのかもしれません。そして、その知識を「無関心」で終わらせないことです。幸いにも、汚染水を飲料水に変える革新的な技術の開発も進んでいます。
What Did People Do When They Saw A Vending Machine Selling Dirty Water?